エヴィールポタリー

フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のオート=サヴォワ県にあるエヴィールポッタリー。ジャンクリストフ・エルマンによるオート=サヴォワを代表とするポッタリーです。


フランスは、その土地によって人の気質が非常に異なると言われていますが、スイスにほど近い場所にあるエヴィールポッタリーのジャンクリストフは、真面目で仕事に非常に厳しく、サヴォワ地方への情熱とその取り組み方への誠実さで知られています。そして何より、仕事の質の高さでは右に出るものはいないと言われる陶工です。オートサヴォワの焼き物は、絵付けはもとより造形の美しさが大事だと言います。皿や鉢物などの厚みは3mmを超えてはならないそうです。工房へお邪魔しても、工房の整理整頓と清潔さは、フランスはもちろんのこと日本の窯元でも見た事がないほど。道具を常に綺麗にし、同じ場所に仕舞えば、常に一定の仕事ができるので当たり前だというジャンクリストフ。ご自宅にお邪魔しても、整理整頓されあるべきものが正しい場所にある、その美しさは圧巻でした。


フランスの伝統的な焼き物を学ぶ聖地と呼ばれている南フランスのクリウスクラで焼き物を学んだジャンクリストフ。まだ幼い子どもの頃から陶工になることを夢見ていたジャンクリストフは、作る事だけではなく、その歴史や背景にも魅了されたと言います。クリウスクラでの修行を終えたジャンクリストフは、生まれ故郷のエヴィール村に戻り1972年に工房を開きます。

夏は山々が青々と美しく、周囲には放牧された牛や馬、やぎがいて、カウベルの音が鳴り響きます。冬はスキーができるほどの大雪が降る大自然に囲まれたこの村でに戻った彼は、彼の生まれ育ったサヴォワ地方の伝統的な焼き物とその歴史を学びます。時代の移り変わりと共に取って替えられ無くなりつつある伝統的な焼き物の作り方、そして使い方を未来へ継承しようと焼き物を作りながら、奥様のジョエルと共にご夫婦で焼き物の収集も始めました。その集大成となっているのが、工房に隣接している圧巻の焼き物美術館です。この美術館ではサヴォワ地方の伝統的なピッチャーや皿、鉢物や聖水盤などを見て学ぶ事ができます。


ジャンクリストフの息子ダヴィッドは、リモージュの学校で焼き物作りを学び、名陶と呼ばれる父ジャンクリストフのもとで働きました。大きな体と大きく厚い手で作られているとは思えないほどの精細さです。控えめで仕事に集中する姿は、日本の陶工に通じる姿でした。

サヴォワ型と呼ばれる焼きものがあるほどの焼き物の産地の場所で、伝統と歴史を守りつつ作り手の日々を表現すると言われているフランスのスリップウェア。牛や羊、犬やうさぎなどの動物、木々や鳥のさえずり、川のせせらぎ、庭や畑にたわわに実る果物や作物などを描いたものが多いのも工房が自然豊かな場所にある所以でしょう。

フランス政府によりEPVと呼ばれる無形文化財企業(Entreprise du patrimoine vivant)として認証されているエヴィールポッタリー。フランスの伝統を象徴し稀少な技能を受け継ぐ手工業の優れた技能に対し、企業の規模の大小によらずフランス政府が厳格な審査を行い発行する唯一の認定です。南フランスの焼き物とはまた違うサヴォワ地方のジャンクリストフエルマンのスリップウェアをどうぞお楽しみください。


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