森山窯  森山雅夫

森山窯
森山雅夫
島根県大田市

略歴
1940年 大田市朝山町に生まれる
1957年 島根県立職業補導所陶磁器科卒業
1957年 卒業後、すぐに河井寛次郎の内弟子となる
1963年 倉敷堤窯 武内晴二郎のもとで修行に励む
1969年 温泉津町 椿窯内にて独立 / 日本民芸館展初入選
1971年 現在地にて森山窯として独立
1979年 日本陶芸展初出品入選(以降、多数入選)
1981年 国画会 新人賞受賞
1983年 日本民藝館展奨励賞受賞
1990年 日本民藝館展協会賞受賞
2004年 島根県ふるさと伝統工藝品指定

私たちが、初めて河井寛次郎最後の内弟子、森山雅夫氏が開窯された森山窯を訪れたのは、お正月三ヶ日明けの頃だったと思います。
そんな不躾なタイミングでの私たちの訪問を快く迎えて下さったのが森山ご夫妻。
お汁粉と自家製のお漬け物に美味しい煎茶を、森山窯の器でご夫妻と共に頂きました。あまりのおもてなしの美しさとお心遣いになかなか箸をつけれなかった記憶があります。森山窯の湯呑みと一緒に、ご夫妻が結婚された時から使われているという同じく島根で創業50年以上となる民藝茶道具を足踏みロクロで作っている森山ロクロ工作所の茶托が使われていました。1つ1つの美しさ、そしてそれら全体をおもてなしとして出した時の全体のバランスがどっしりと安心感を与えるものであり、かつとても美しく、いっぺんに心奪われてしまいました。


私たちが心を奪われてしまったのは器だけでありませんでした。器がある空間や森山ご夫妻が作られている世界観そのものにも魅了されてしまいました。作陶をされている作業場は、作陶には1番だとご夫妻がおっしゃる土間になっていて、長年使われているだろう低めの小降りのテーブルと椅子が置かれています。その上には森山さんのご友人でアイヌ陶芸作家の方が作られたという小物たちが置かれ、奥様が森山窯の花器に生けられたお花が日常として飾られています。器が置かれているスペースには海外のクラフトアイテムも一緒に飾られていました。

ロクロがある作業場の上には、立派なしめ縄のお飾りが複数飾られていて、のちにお正月以外の時期でお伺いした際にも飾られていたので、師匠である河井寛次郎がしていたように、一般的に年始にのみ飾られるしめ縄も、森山窯では1年中飾られているのだと理解しました。
もちろん我が家でもそれ以降、しめ縄を1年中飾っているのは言うまでもありません。あれだけ美しいしめ縄を年始にのみ飾り奉納してしまうのは、もったいないですよね。


このように器以外でも心奪われるものが多い中、それから器選びに永遠と数時間。森山窯は、主に呉須釉や瑠璃色のブルー系と、落ち着きのあるラムネ色のような黄緑色を呈する灰釉の3色が主な色調ですが、太陽の光や森山窯の庭先の緑と並べてみると、器の貫入と相まって本当に自然と引けを取らないほど、もしくは自然をも吸収してしまうほど美しく、また表情豊かで多彩な顔を見せています。加えて、1つ1つの器がどっしりと健康的であり民器らしい安心感があります。

初めて森山窯にお邪魔して以降、毎度1つずつ器を手に持っては庭先に出て、テーブルに置いて、、、と、森山ご夫妻の愛猫と同じ頻度で作業場、器陳列スペース、庭先とを何時間も感嘆の声をあげ行ったり来たりしながら注文をさせて頂いています。ご夫妻の愛猫にも呆れられているかもしれません。
そして、帰る際には毎度必ずお二人のこの笑顔でお見送り頂いています。お二人が心を込めて作られた器をどうぞご覧下さい。


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